「小宮さんは上手くいってなさそうだけど」
「……まあね」
春瀬とはきっと、もう戻れない。
嫌われているから。
「小宮さんは可愛いから大丈夫。きっと春瀬くんも意地張ってるだけだよ。あんなにあからさまに俺を睨む人もいないしね」
「……ありがとう」
柏木くんの励ましのおかげで少し気が楽になった。
「じゃあ、お互い頑張ろうな」
そう言って、頭にポンっと一度手を置いて爽やかに体育館の方へと走っていった。
「はあ、なにやってんだろ……わたし」
まさかまた柏木くんに励ましてもらうことになるなんて。
完全に悪循環だ。
しばらくしてわたしも体育館に向かい、競技に参加した。
わたしが参加した競技はバレーボールでとくに活躍するわけでもなく平凡にゲームは終了した。
そんな中、横のコートで男子がバスケットボールをしている。
女の子たちがキャーキャーと黄色い声を出して、応援しているのは、
────……わたしが世界で一番嫌いで、宇宙で一番好きなひと。



