「あーずちゃん」
「ひゃっ、いきなり現れないでよ」
千里が体育委員で集まっている間、ぼーっとしていると突然声が聞こえた。
「人を幽霊扱いすんなよ」
急に隣にきて、話しかけてくる方が悪いんじゃん。
「そっちが悪いんでしょ」
ていうか、さっきまで女の子に囲まれてたくせに。
なんでわたしの方にわざわざ来るわけ?
「せっかく俺が来てやったのにもっと喜べよ」
「は?誰も来てくれなんて言ってない」
「顔には来て欲しかったって書いてんぞ」
そう言ってわたしの頬をむにっとつまむ。
そんなの、嘘に決まっている。
書いてあるわけがないのに、動揺している。
本当は来てくれるんじゃないかってどこかで待っていた自分がいたからだ。



