「せーかい。やっぱ、俺のこと好きなんじゃね?」
なんて、言ってみても
「あんたなんて好きじゃないし。たまたま覚えてただけ」
欲しい返事は当たり前だけどかえってこない。
「素直じゃないな」
「あんたには関係ない」
「あ、すいません。パイナップルジュースとピンクグレープフルーツのMサイズを一つずつお願いします」
そういいながら店員さんに声をかけると、俺の制服の裾をぐいっと引っ張って小さな声で話しかけてきた杏彩。
「か、勝手に頼まないでよ」
「どうせ、あれだったろ?」
自信満々の表情を浮かべると、やっぱり図星だったのか黙ったまま不貞腐れたようにこちらを見ている。
「はい、図星」
「う、うるさい!たまたまだし!」
「お前はたまたまが多いな」
そういいながら店員さんにお金を渡すと慌てたように横から自分の分のお金を差し出してきた杏彩。



