まあ、俺なんて柏木以下だろうな。
クソみたいな別れ方しかできなかったんだから。
散々、傷つけたことくらい痛いほどわかっている。
今更なんだって言われたって仕方ない。
「春瀬は、本気で人を好きになったことがないからわかんないんだよ」
「お前はあんの？」
───……お前は、俺に本気だった？
なんて、聞けるはずがない。
「あるよ。ほんとに好きだった」
しんみり、と思い出すように呟いた杏彩。
誰だよ、そいつは。
柏木か？それとも過去のヤツか？
「ふーん。相手は違うんじゃね？つーか、お前ごときに本気になるやつなんていねぇよ」
なんで俺はこんなひねくれたことしか言えないんだよ。
お前に本気になるやつなんてこの世界に山ほどいるのに、俺だって本気だ。
誰にも取られたくない。そう思うくらいに。
「そんなの言われなくてもわかってるよ。あたしはあんたみたいにモテないからね」
「そんなふてくされんなって」
モテられたら俺が困るんだよ。
お前、可愛いから。
最強に可愛いから。
ただ、それだけの言葉が言えない。
