彼の一番になんてなれないことくらい最初から分かっていたはずなのに、彼がいつもくれる『好きだよ』という偽りの中身のない愛の言葉に優越感を抱いていたのも事実。
彼女よりもあたしを一番に愛してくれている。
なんて、バカみたいに錯覚していた。
「結局あたしはいつだって
一番にはなれないんだよ……!」
あんただって……あたしを捨てたじゃない。
そんなあんたにあたしの気持ちなんて
分かるはずがない。というか分かってたまるか。
「そーだね。ほんと可哀想」
そんなことを言いながら
あたしの頬を流れる涙を親指でそっと拭った。
その手はさっきの冷たい瞳とはまるで違い
温かくて、付き合っていたときに繋いでいた手とおなじぬくもりでもっと涙が溢れた。
なんでこんなやつとのことなんて思い出すの。
こんなクズ男のことなんか全部忘れたのに。



