だから、お前なんて。




「いつか素直になれたらいいな」

「頑張るわ」


もっかい杏彩に好きになってもらえるように頑張るしかないな。

まあ、そんな確率は低すぎて先が見えねえけど。


「なんかあったらまた言えよ。絶対な」

「おう」


なんだかんだいって、大和は俺のことを気遣ってくれる。昔からの仲だから、なんでもわかってくれてダメなことはちゃんとダメだと叱ってくれるやつ。

コイツがいなきゃ、俺はもっとクズだったと思う。

まあ、今でも十分クズだけど。


「ねえ、環くん〜〜」


大和と歩いていると、なんとなく顔を見た事のある女が俺の名前を呼んで走ってきた。

そして、俺の腕に自分の腕を絡める。

鼻を刺激する香水の匂いに思わず顔をしかめる。


「なに」

「もっかい、しようよ」


あー、そういえばコイツ一週間前くらいに抱いた女か。

めんどくせぇな。こっちはお前のことなんて興味ないんだっつーの。