「つーかさ、正直あの子のどこがいいわけ?
絶世の美女ってわけでもなければ、目立ってるわけでもないじゃん」
「何回も言ってるだろ。お前は知らなくていいって」
ほかの男に杏彩の良さなんて教えるわけねえだろ。
それで惚れられたらたまったもんじゃない。
いつだってひとりじめしていたい。
少し前まではそれができていたのにその権利を俺は自ら手放したんだ。
「いい加減教えろよ」
「んじゃあ、一つだけ教えてやるよ」
「一つだけかよ」
「杏彩は可愛すぎるくらい可愛い」
こんなの気持ち悪いと思われるかもしれないけど、俺は本気で思っている。
いつもはツンツンしてるくせにデレたり、甘えてくると、とてつもなく可愛くていい意味で心臓に悪い。
「うわあ、お前に聞いた俺がバカだった」
「じゃあ、聞くな」
「なんで本人に余計なこと言わずにそうやって素直に伝えられねぇんだよ」
俺だって、可愛いとか言ったりしてる。
だけど、杏彩は全く俺を信用していないのか俺の言葉を信じてくれない。
全部、軽い冗談だと思っているんだ。
俺は本気で言っているのに。



