「お前ら朝からうるせえな」
そんな中、声を上げたのはいつの間にか教室にきていた春瀬だった。
「お前元カノ、浮気してたらしいぜ」
一人の男の子がそう言うと、春瀬はフッと鼻で笑った。どうせ、ダサいとか最低だとか言うんでしょ。
「だからなに?」
そうだよ。そもそもあたしと春瀬はもうなんでもないんだから春瀬にとってあたしのことなんてどうでもいいことなんだよ。
「は?」
「ほんとかどうかも分かんねえ話で傷つく奴がいるってことくらい考えろよ。その頭には何が詰まってんの?」
「お前ふざけんなよ」
「ふざけてんのはそっちだろ」
クラスメイトの男の子と春瀬の間には見えない火花が散っている。
なんで……なんで春瀬はあたしを擁護してくれるんだろう。
彼があたしを守る理由なんてどこにもないのに。
───……お前が誰かになんか言われたら俺が守ってやる
春瀬が言っていた言葉を思い出したけど、頭を左右に振って消し去った。



