「そーそー。そうやって笑ってる方がまだマシだぞ」
「マシってフォローになってないから」
「わりとフォローしたつもりだけど」
まあ、ほんのちょっとだけブルーな気持ちがどこかへ行った気もする。
春瀬といるとやっぱり落ち着くのは確かだ。
気がつくと心を許してしまっている。
本当に嫌になってしまうほど。
歩きながら話していると結局学校まで着いていた。
「まあ、春瀬らしいけど」
靴を履き替えながら、教室へと向かって歩く。
「だろ?」
その言葉とともに得意げな表情を見せる春瀬。
「褒めてないから」
「やっぱ、かわいくねぇわ」
可愛くない、なんてそんなのあたしが一番わかっている。だから、そんなに何回も言わないていいよ。
「もう、そんなのわかってるから」
「拗ねんなって」
よしよし、と小さい子をあやすかのようにあたしの頭を撫でる春瀬。
なんであたしはこんなやつに頭を撫でられているんだろう。



