自然と下がる視線。
見たくない。彼女と楽しそうに笑っているところなんて。あたしの前では苦しそうに笑ってたくせに。
彼女と仲直りをしたらあたしは用無し?
あたしはそれまで都合よく使われていたんだよね。
自らそれを望んでいたとはいってもやっぱり傷つくものだ。
いろいろと考え込んでいると、突然隣からスッと腕が伸びてきてあたしの肩を掴み、ぎゅっと引き寄せた。
おかげであたしは彼の胸元にピッタリとくっついて歩いている。
歩きずらいし、突然なんなの?
「……やめてよ」
みんなも見ているし、恥ずかしい。
それに柏木くんに見られるのもなんだか嫌だ。
だけど、隣にいる春瀬は離そうとしない。
彼の瞳は柏木くんのことをしっかりと捉えていて、心なしか肩を抱く強さがだんだんと強くなっていっているような気がする。



