女の子をもてあそんで、いらなくなったら捨てる。
最低な男で、捨てる時だって容赦はしない。
「まあ、そんなところもあずちゃんの魅力か」
「その名前で呼ばないで」
「どーして?」
……分かってるくせに。
どーして?なんて聞いてこないでよ。
余裕そうな笑みを浮かべてわたしの返答を待っている。
「……イヤだから」
「俺と付き合ってたときのこと、思い出しちまう?」
抹消してしまいたい思い出。
それはこんなクズと半年の間も騙されて付き合っていたということだ。
「……あんたとの思い出なんてもう全部忘れた」
「ふーん」
忘れた、というのは少し盛った。
そりゃあ、簡単に忘れるはずがない。
半年も好きで付き合っていたんだから。
なのに、このクズ男は突然わたしを捨てた。
突然、たった一言『飽きた』だけ言って、わたしから離れて、その数日後には他の女の子と関係を築いていた。
そんな男だと最初からわかっていたけど、付き合っていた半年間はそんなこと忘れてしまうくらい優しくしてくれていたのに……。