「それは、」
「YESかYESだろ?」
そう、あたしに拒否権なんてない。
別にそれに不満はなかった。
だって、あたしが嫌がることを春瀬がしたことなんてなかったから。
───意地悪だけど、優しい。
それがあたしの知っていた春瀬だった。
今は違うけどね。
「ウザい」
「そー怒るなって。シワが増えるぞ」
「誰のせいだと思ってんの」
「宇宙人?」
「またそうやってふざける」
春瀬は意外と冗談を言ってふざけるタイプでもある。
でも、ちゃんと真面目な部分もある。
制服は気崩されているし、耳には銀色のリングピアスが二つと軟骨に一つ赤いピアスがつけられているし、髪の毛は金に近い色だし、校則を破りまくりだけど授業をサボったことはないし、毎日ちゃんと登校している。
頭も悪くも良くもない普通くらいで、運動神経だって普通だ。



