だから、お前なんて。



「普通だってよ」

「普通で何が悪いの」


あたしが傷ついていることを分かっているのか分かっていないのか知らないけど、春瀬は軽い口調で言う。

春瀬には分からないよ。

人を本気で好きになったことがない人にあたしのこの複雑な気持ちが分かってたまるか。


「まあ、あずちゃんは普通がピッタリ」

「嫌味?」

「ちげぇよ。
あずちゃんはそのままでいいって言ってんの」

「そんなこと思ってないくせに」


よく、そんなにポンポンと嘘が口から出てくるもんだ。他の女の子にもそういうことを言って惑わせているんでしょ?

残念ながらあたしにはもう効かないから。


「あー、もういいや」

「は、なに?」


そう言った瞬間、春瀬がつけていたイヤホンがあたしの両耳につけられる。優しいラブソングが耳元で流れている。