「あれ?泣いてんの?
珍しいこともあるもんだねー」

「っ、」


ふと、頭上から聞こえてきた声。

聞き覚えのある声に驚き、涙でぐしゃぐしゃな顔を隠すように視線を下にさげた。

なんで……なんであんたがここに。


「あー、捨てられちゃった?」


心配する様子もなく、笑いながら言うコイツは
本当に正真正銘のクズだ。


「あんたに……関係ないっ……!」

「だって、泣くほど悲しいんだろ?」


……そうだよ。悲しいよ。
わたしだって、自分で驚いてるよ。

何がこんなに悲しくて泣いてるのか分からないんだもん。
好きでもなかったくせに、傷の舐め合いだったくせに、どうしたこんなに涙が出てくるのかわからない。

でも、一つだけ言いたいのはあんたに別れを告げられたときくらいは泣いてないよ。


「……うるさい」

「その冷たい態度、変わんないな」

「……」


あんたのクズっぷりも変わってないよね。
いや、あんたの場合はもっとクズになった。