だって、その一時間の間に何度も春瀬のスマホが震えていたのにあたしは気づいていた。
きっと、春瀬だって気づいているはずなのにスマホを触らずに無視をし続けていた。
なんで、なんで春瀬は出なかったんだろう。
たぶん相手は遊ぶ女の子だっただろうに。
どうしてもう関係のなくなったあたしを優先させたの?
全然わからないよ。
今も昔も、春瀬の考えていることはわからない。
「いーよ。
別に迷惑になんて思ってねえし。送っていくって言ってもどうせあずちゃん嫌がるから俺は帰るわ。まっすぐ家に帰えんだぞ」
あたしの頭を軽く撫でてからそれだけ言うと春瀬はヒラヒラと手を振りながら帰っていった。
……ほんと、分からないよ。
いまさら優しくしてもあたしの気持ちは変わらないのにね。