《そうだな、俺はモテちゃうからわからない。
でも、あずちゃんが悲しんでるのは分かる》
《偉そうなこと言わないで》
《だって、あずちゃんが“大丈夫”って言った時は大丈夫じゃないし、悲しそうなときは唇ぎゅって噛み締めてるし、嘘ついてる時は前髪触るし》
なにそれ。
俺はなんでも知ってるんだよ、みたいな感じで言ってこないでよ。
あたしとあんたはもう赤の他人なんだから。
「やっぱ、泣いてんじゃん」
後から声がして振り向くと
へらりと笑ってあたしを見ている春瀬。
なんで……あんたがここに。
「なんで……っ」
「あずちゃんのこと放っておけなくて、さ」
「調子のいい言葉ばっかり言って」
「今日くらい、人に甘えてもいいんじゃねぇの」