だから、お前なんて。




瞳に涙の膜が張られる。
あと少しでこぼれ落ちてしまいそうだ。


もう泣かない。
こんな恋ごときで泣きたくない。


そう思っていたのに、もう一通来ていたメッセージをみて、我慢していた涙が頬を伝った。


《どーせ、また一人で泣いてるんだろ?
俺はあずちゃんが世界でいちばんかわいいと思ってるよ》


なんで……なんで春瀬からのメッセージで泣いてるのよ。


一人で泣いていることが見透かされてて悔しいのに
女たらしの言葉でお世辞だと分かっているのに
こんなにも嬉しくなるなんて。


春瀬は何もかもがズルい。
あたしを惑わす方法をすべて知っていると思う。


《バカ》


涙で滲む視界で必死に打った強がり。


《あずちゃんから『バカ』って
言われたのなんか久しぶりだな》


春瀬は本当にわけわかんないくらいあたしに尽くしてくれたし、あたしそれに応えようと尽くしたつもりだった。