ビターキャラメル ビター

まるで抱きしめられているような体勢のまま、時折身体を持ち上げられ移動させられた。駅前から、人通りの少ない路地のほうへ。
私はもうされるがままに従い、宗吾さんから離れないまま操られた。


「未練がないならそれでいい。――なら、大丈夫だから、落ち込んでること全部言ってみろ」


口を開きかけては逡巡する。いつもこうやって話を聞いてもらっていたけど、今日は、言ってしまったらもう、終わり。
けどこれは罰なのかもしれない。私は、いけないところまで望んでしまったのだから。


「……服、似合ってないって、言われました。宗吾さんがお祝いしてくれるから、頑張ってみたけど」


「そんなことない。似合ってる」


「そんなこと、あるんだよ。……さっきの、人……」


「元彼?」


「彼でも彼女でもなかったけど……」


「……」


「私、馬鹿だったなあって思い返してた。相手の好む私だけが正解なんだって思ってたなんて。……言いなりになって、疑いもしなかった私は馬鹿だったって自覚しても、やっとそれを理解しただけで、今だって全然大したことなくて、どうしようもない人間だなって……」