ビターキャラメル ビター

しばらくその場で立ちすくむ。


もう、一年前とは違う。泣きじゃくって転んで立ち上がれないことはない。


顔を上げられないまま、私は踵を返した。自覚のないまま、独りごちて。


「……帰った、ほうが……」


けれども、私の進行方向には温かな人間の壁があった。
ぽふんと跳ね返りそうになる身体は背中を支えられ、自動的に支えてくれた腕や身体に四方八方囲われるかたちになる。
小さな私は、背の高いその人の心臓よりも鳩尾に近い場所あたりに包まれる。
温かな、温かすぎて泣きたくなる大好きな人の体温があった。


「こら。おれとの約束すっぽかすつもりか?」


「……」


「元彼に未練あってそんなになってるのか?」


「宗吾さんの阿呆……」


そんなことあるわけないじゃないか、私はあなたを好きなんだから。そんな気持ちをぶつけるように首を横に振ると、それならいいと、頭を撫でられる。
なんだか今日はいつも以上に優しくて、もう色々と飽和状態だ。