そんな一年の間に、宗吾さんを好きなるのは自然の摂理のようなものだった。
怒ってくれ、誉めて、認めてもくれる大人な人。お客さまや後輩に対する心遣いが清々しくて見ていて気持ちいい。大きな手でされるシャンプーは心地よく、あの手で撫でられてもみたい。奥二重の色素の薄い茶色の目が笑みで細められる瞬間に見蕩れる。
月に二回、カットモデルだと甘やかされ、定休日前日の閉店後、面倒見がよくて責任感の強い宗吾さんとのふたりだけの時間に、私は幸せを感じる。
後ろめたさも感じながら。
宗吾さんの恋人さんのことは解ってる。最初の日以来会えてはいないけど、いつかの会話にも出てきたし、仲も順調なんだろう。
……障害などなくても、きっと、現状に変わりなどないだろうけど。
「宗吾さん」
「なんだ?」
瞼や鼻筋に、切ってもらった前髪が乗っているのを柔らかなブラシで落とされる。宗吾さんの顔がこのときは少し近くなるのが恥ずかしくて、私はブラシが当てられる最中だけでなく前後もずっと、目を閉じて終わりを待つ。
「私、就職決まりました」
怒ってくれ、誉めて、認めてもくれる大人な人。お客さまや後輩に対する心遣いが清々しくて見ていて気持ちいい。大きな手でされるシャンプーは心地よく、あの手で撫でられてもみたい。奥二重の色素の薄い茶色の目が笑みで細められる瞬間に見蕩れる。
月に二回、カットモデルだと甘やかされ、定休日前日の閉店後、面倒見がよくて責任感の強い宗吾さんとのふたりだけの時間に、私は幸せを感じる。
後ろめたさも感じながら。
宗吾さんの恋人さんのことは解ってる。最初の日以来会えてはいないけど、いつかの会話にも出てきたし、仲も順調なんだろう。
……障害などなくても、きっと、現状に変わりなどないだろうけど。
「宗吾さん」
「なんだ?」
瞼や鼻筋に、切ってもらった前髪が乗っているのを柔らかなブラシで落とされる。宗吾さんの顔がこのときは少し近くなるのが恥ずかしくて、私はブラシが当てられる最中だけでなく前後もずっと、目を閉じて終わりを待つ。
「私、就職決まりました」



