「……宗吾さんも、私と同じようなことが怖いの?」
「紫織に関しては全部。皆、少なからず紫織みたいな恐怖に竦むんだ。紫織のこと、大事になりすぎて怖かった。……けどもう誰かの、特に元彼の安易な言葉で傷つく紫織は見たくない。自信もっていいとこいっぱいあるだろ。それを手放すな。おれが出来ることならなんでもするから」
「じゃあ宗吾さんの気持ちちゃんと知りたいっ」
抱きしめ返した私の腕は、宗吾さんの背中全部に回せず、途中のジャケットを握ってしまう。しわになるからと慌てて離そうとすれば、続けることを要求される。囁かれた声がいつもより低くて色っぽくて、それが私はとても嬉しかった。
「おれが紫織を好きな気持ちは、紫織の自信に少しでもなる?」
「なによりも」
「なんでもするから、おじさんを捨てないでくれよ?」
「なんでもはしないで。甘やかさないで。間違ってたらちゃんと怒って。あとおじさんじゃないっ。あと……私に嘘つかないで。好きじゃなくなったらちゃんと言って」
「ずっと好きなら、ずっと一緒にいてくれるんだな?」
もちろんだと、答えた声は掠れていて、私を抱きしめる腕は震えていた。
――END――



