「じゃあ今度は俺の番」

そう言うと大和さんは私に自分の傘を預けた。

「え、大和さん?」

彼は私に傘を預けると腰を落とした。そして墓前の前で瞼を閉じて手を合わせる。

大和さん……。

雨が傘に落ちる音が響く中、ただ静かな時間は流れていく。大和さんは私の家族と、どんな話をしているのだろうか。

彼の背中を眺めていると、なぜか泣きそうになる。

きっとお父さんたちも安心しているよね。大和さんは誠実で優しくて、とっても素敵な人だから。

最後にもう一度ふたりで手を合わせ、墓地を後にした。



お父さんたちは、ご先祖様が代々眠るお墓に入っている。ここは土砂災害の被害はない場所だった。

墓地からの帰り道、来る時もいたけどマスコミが取材に来ていた。

「さっきより増えたな」

「そうですね」

入院中、自分の家が建っていた場所がテレビに映っているのを、どこか他人事のように眺めていた。