夢原夫婦のヒミツ

「あれ……嘘、やだ」

ポタポタと瞼から零れ落ちた涙に、びっくりして声を上げてしまう。

だっておばあちゃんから両親や祖父母が亡くなったことを伝えられても、泣くことなんてできなかったのに……。

その理由は、きっとこれだよね。

ゴシゴシと涙を拭い、迷彩服が入っている袋を再び力いっぱい抱きしめた。

失っていたかもしれない命を、助けてくれた人がいる。それなのに、いつまでも夢の世界だなんて言って、逃げていてはいけない。でも――。

「だめだな、受け入れたら受け入れたで、涙が止まらない」

もうあの家はなくて、一緒に住んでいた四人とは永遠に会えないんだ。

そう思うと涙はとめどなく溢れ、私は声を押し殺し一晩中泣き続けた。



「んっ……朝？」

眩しい太陽の日差しに目を開けると、カーテンが閉まっていない窓からは朝陽が大量に差し込んでいた。

「私、いつの間に寝ちゃっていたんだろう……」