夢原夫婦のヒミツ

心配でおばあちゃんに答える余地を与えることなく、一方的に尋ねていたけれど、次第に目を伏せて声を上げて泣き出したおばあちゃん。

「え、おばあちゃん……?」

おばあちゃんは答えてくれることなく、ただ泣くばかり。

その姿に、嫌な予感がはしる。

ううん、そんなまさか。きっとみんな私と同じように入院しているんだよね? 病室が違うだけで同じ病院にいるんでしょ?

必死に自分に言い聞かせて、プラス方向に考える。――だけど、落ち着いた頃。

おばあちゃんの口から告げられたのは、到底受け入れることのできない現実だった。



「あら、鈴木さん食欲ない? 朝食も残していたわよね」

「……すみません、食べられなくて」

次の日のお昼時。運ばれてきた昼食に箸を伸ばしたものの、一口以上食べられなくなってしまった。

看護師さんに昼食を下げてもらい、ひとりっきりになると窓の外の景色を眺めた。

ここは何階なんだろう。窓の外に見えるのは街灯と青空だけ。だけどベッドから降りて窓の外の景色を確認する気力も起きない。