夢原夫婦のヒミツ

もう、だめかもしれない。……そう、思った時。ザク、ザクと土を掘る音が聞こえてきた。

え、なに……?

必死に瞼を開けると、見えた一筋の光。それは徐々に大きくなっていく。

もしかして誰か、助けに来てくれたの? お願い、私はここにいるの。見つけて……!

最後の力を振り絞って声を出す。

「……助……けて。誰か、お願い……!」

大きくなる光に向かって助けを乞う。すると光の先からこちらを見る誰かと目が合った。

「生存者、発見!!」

見つけてくれたの? 私のことを。

「大丈夫ですか!? 今すぐ助けますから、頑張ってください!」

何度も頑張れと声を掛けられ、自分が助かったんだと実感していく。

次第に身体が動かせるようになり、私は朦朧とする意識の中で手を伸ばした。

「もう大丈夫ですよ」

次に包まれた温かなぬくもりに、私は必死にしがみついた。


その後の記憶はない。気づいたら私はベッドの上にいたから。

「あれ……私……」