夢原夫婦のヒミツ

縁側から外に出て周囲を見回した時、それは一瞬の出来事だった。

聞こえていた音は次第に大きくなり、暗闇の中でなにかが迫ってきているのがわかった。

だけどわかった時はもう遅くて……あっという間に私は家と共に大量のなにかに飲み込まれていった。


次に目を覚ました時には、目を開けても真っ暗でなにも見えなかった。

身体に圧迫感を感じ、息苦しさを覚えて苦しくてたまらない。

なに、これ。どうしてこんなことに？

自分の置かれている状況を理解できず、パニック状態に陥る。

なにも見えなくて身動きもとれない。怖い、誰か助けて……！

朦朧とする意識の中で、何度も何度も「助けて」と叫んだ。

だけどそうしていられたのも、ほんの少しだけ。次第に呼吸も苦しくなり、うまく声が出せなくなる。

そもそもどうしてこんな状況に陥っているの？　私、家にいたよね？　普通にテレビを見て蘭とメッセージのやり取りをしていて……。

あ、スマホは!?

動かせる範囲で手にしていたはずのスマホの手探りで探すものの、それらしいものを掴むことができない。