夢原夫婦のヒミツ

それは高校生になっても変わらず、三人とも地元の高校へ進学し、青春時代を共に過ごしてきた。

だけど高校三年生になると、それぞれが進むべき道に悩んでいた。……あの日も――。


休み時間、教室の片隅で蘭はプリントを手に「うーん……」と唸っていた。

「どうしよう、進路希望調査をまだ提出していないの、私だけなんだよね」

「えっ、あれって一昨日までだったよね?」

佐介に聞くと「あぁ」と頷いた。

「だってすぐに進路なんて決められなくない!? 愛実と違ってまだ将来、なにになりたいかなんて決めていないし」

高校三年生になるともう既に受験モードに入る。私も管理栄養士になる夢を叶えるため、希望する大学受験に向けて勉強中だった。

「そういえば佐介はどこの大学を希望したの? あんたは愛実みたいに将来、やりたいことが決まっていなかったよね?」

「いや、たしかにまだやりたいことは決まっていないけど、いくつかいきたい大学はあるから」

「嘘でしょ!? ひどい、裏切り者~!」

なんて言いながら佐介に詰め寄る蘭。