夢原夫婦のヒミツ

「ねぇ、佐介。同じ男としてどう思う？　私ってそんなに女としての魅力がないのかな」

途端に佐介は頬を赤く染めた。

「いや、俺に聞かれても……！　ただ大和さんは愛実のことを大切想っているってことじゃないのか？」

「そう、なのかな……」

真剣に悩みを聞いてくれる佐介とは違い、私たちのやり取りを聞いていた蘭は呆れ気味に言った。

「佐介ってばなにを真剣に答えているのよ。愛実の冗談に決まっているでしょ？　どう考えてもおかしいでしょ。大人の男が結婚した奥さんになにもしないなんて」

蘭の言葉が鋭い刃と化して胸の奥深くに突き刺さる。

うっ……！　やっぱりおかしいんだ。

ガーンという効果音が頭の中で鳴り響く中も、冗談だと思っている蘭は容赦なく言う。

「佐介だって好きな人とは、色々したいと思うでしょ？」

「えっ！　いや、俺は……」

まさにその好きな相手からとんでもないことを聞かれた佐介は、当然慌てふためく。

だけど佐介の気持ちをこれっぽっちも知らない蘭は、小首を傾げた。