夢原夫婦のヒミツ

「ありがとう。でもきっと大和さんは無事に帰って来ると思うから大丈夫。それにこうして蘭や佐介がいてくれるしね」

努めて明るく言うと、蘭はギューッと私の身体を抱きしめた。

「うんうん、そうだよ愛実~! あんたには私と佐介がいるんだから」

「ちょっとやだ、蘭ってば。苦しいから」

彼女はきつく私に抱き着いてくる。

「えー、いいでしょ?」

「もう、準備できないじゃない」

なんて言いながら、蘭を突き放すことはできない。

だけどいつまでも仲良く抱き合っている場合じゃない。そろそろ佐介が来る時間。

それは蘭もわかっているようで、ゆっくりと私から離れた。

「どれ、そろそろ佐介も来る頃だし急いで準備しないとね。私、テーブル拭いてくるね」

「ありがとう、お願い」

布巾を持ってキッチンから出ていく蘭を見送り、皿やお箸などを準備しながらふと、そういえば蘭と佐介は今どうなっているのか気になった。

ふたりとはそれぞれ連絡を取っているけど、蘭からも佐介からもどうなっているのか聞いていない。