夢原夫婦のヒミツ

「世の中の男が、なんでもスマートにこなせるわけじゃないんだ。強引に引っ張ってくれる理想の男なんて、所詮漫画や小説の中だけだ」

断言してまたオムライスを口に運んでいく佐介。

「それに俺たち人間は、ひとりひとり感情を持っていて、考え方や感じ方もそれぞれ違うだろ? だからさ、ちゃんと愛実の気持ちを大和さんに伝えるべきだと思うぞ」

「……うん」

そうだよね、まずは話をしないとだよね。だっていつまでもこのままの関係なんて嫌だもの。
佐介と話をして、気持ちが前向きになれたよ。

「ありがとう、相談に乗ってくれて」

「いや、友達として当然のことをしただけだから」

そう言いながらも、佐介は照れている。

そんな彼がおかしくて笑いながら私もオムライスを口に運んでいく。

「蘭のおかげだね。長年一緒にいたのに、佐介が意外とヘタレだってことを初めて知れたのは」

「ヘタレって……まぁ、それは否定できないけど」

ギョッとするものの、バツが悪そうに口籠る姿にますます笑みが零れる。