夢原夫婦のヒミツ

「オッケー。買うものは決めているの?」

歩を進めながら尋ねると、すぐに答えが返ってきた。

「あぁ。なにか身に付けられるようなアクセサリーがいいかなと思って」

「いいじゃない! きっと喜ぶよー」

蘭が好きそうなブランドのアクセサリーショップに向かい、ふたりでガラスケースの中を覗いていく。

「うーん……ブレスレットとネックレスが良いかなと思うんだけど、愛実だったらどっちがいいと思う?」

「えー、どっちだろ……。でも蘭ってネックレスはあまりしているところ、見たことないよね」

思い出しながら言うと、佐介も「うーん」と唸る。

「たしかにそうかもしれないな。でもブレスレットはしていたよな?」

「うん。してた!」

「よし、じゃあブレスレットにしよう」

ブレスレットコーナーに向かうと、すぐに佐介は気になる商品を見つけたようだ。

「すみません、これを見せてもらってもいいでしょうか?」

店員にそう言いながら佐介が指差したのは、胡蝶蘭の花をモチーフにしたシルバーのブレスレットだった。