夢原夫婦のヒミツ

一瞬迷いながらも頷くと、佐介は眉尻を下げて困った顔を見せた。

「けっこうあれ、ショックでさ。好きだからそばにいられれば、それだけでいいと思っていたけど、やっぱりできるなら一番近くにいたいと思い始めたんだ。それに愛実が結婚したように、結婚してもおかしくない年齢だなってしみじみ感じてさ」

「……そっか」

彼の話を聞き、頬が緩む。

やっと佐介が告白する気になってくれたのかと思うと、嬉しいから。

なにより蘭には、はっきり伝えないと一生佐介の気持ちは伝わらなそうだし。

「誰かに取られて後悔する前に、振られてもいいから自分の気持ちを伝えたいと思ったんだ。……誕生日に個人的にプレゼントして、それで告白しようと思って」

「うんうん」

照れ臭そうに話す佐介が微笑ましくて、ニマニマしちゃう。すると彼は面白くなさそうに顔をしかめた。

「なんだよ、その顔は。こっちは本気なんだぞ？」

「ごめんごめん。……じゃあプレゼントを買いに行こうか」

顔の前で手を合わせて謝ると、佐介は「……頼む」とボソッと言った。