夢原夫婦のヒミツ

「なに?」

もう一度尋ねると、佐介は頭をガシガシと掻きながら照れ臭そうに言った。

「悪い、愛実。……ちょっと買い物に付き合ってもらえないか?」

「買い物? もちろんいいけど……」

なにを買うんだろう。そんな恥ずかしそうにお願いするようなものなんてある?

首首を捻ると、佐介はボソッと言った。

「サンキュ。……いい加減、蘭に告白しようと思って」

「……えっ!?」

思いがけない話に大きな声が出てしまい、一気に注目を集める。

「バカ、声大き過ぎ」

「ごめっ……」

すぐに両手で口を塞ぎ謝るものの、驚きを隠せない。

今度は声を潜めて聞いた。

「どういうこと? 告白って」

散々これまでも、さり気なくだけど佐介に告白してみたら? と助言してきた。

でも彼は頑なに『今の関係を壊したくないから』と言って、告白してこなかった。それなのに急にどうしたの?

気になって佐介の答えを待つ。すると彼は近くの空いているベンチに向かい腰掛けた。

私も後をついていき、腰を下ろすと佐介はポツリポツリと語り出した。

「この前、愛実の家に行った時に俺、蘭にけっこう色々と言われただろ?」

「えっと……うん」