*side叶夜*.゚*




いつも通りの下校時。


 いつも通りじゃないことといえば、さっきから、水夏理の元気がない気がする。


 さっき藤森があんなこというからっ…。 

 


 「水夏理…、どうしたんだ…?」


 「え…、な、なんでもないよ?」

 


 下手な嘘…。


 絶対なんかあるな…。



 「叶くん…。」


 「なんだ?」

 



 「叶くん、無理して私と一緒にいるんじゃない…?」





 はぁ?


 こいつ、まさかさっき藤森が言ってたことを全力で否定したから、勘違いして…。


 「…っ。んなわけないだろ!」


 「そっかぁ…。」


 ちょっとは、ショックうけてくれたのか…?



 期待して…いい…のか?



 「あの…さ、」



 「あ、もう家着いたね。」
 

 いつも、ドキドキさせられるソプラノの声が、なんだかこの時は、寂しげだったんだ。
 

 「あぁ、また、そんなに話せなかったな。」


 もっと早く気づいていたら、あんなことにはならなかったのに…。


 「う…ん。」

 


 なんだよ、話したくなかったみたいに…。




 「じゃあね、送ってくれてありがとう。」


 くるっ、と水夏理が振り返る。


 水夏理のふわふわとカールしたロングヘアーから、甘い香りがしてドキッとする。 


 「あのさ、明日から迎えに来なくていいよ、お母さんが、車で送ってくれるんだって。」


 
 は?

 

 「ちょ、待てよっ、」

 
 そのときには、水夏理は家に入っていた。

 
 
 「どういうこと、だよっ…。」

 

 俺は、水夏理があんなにきずついていたなんて、知らなかったんだ。

 



 このあと起こる、最悪な出来事を-。