レフティ


お昼を食べてから、今度は4人でナガシマスカに乗ると、まぁそれはそれはうるさくはしゃいだ。
こんなに笑ったのは、先月会社の先輩と付き合いで観に行った、お笑いライブ以来だと思う。

「は〜もう疲れた」

御曹司モードの鎧塚さんは、どかっとベンチに腰を下ろした。

「もうチェックインできるけど、どうする?」

山辺さんが私たち2人の顔を見やる。

正直私としては、もう十二分に満足しているから、早く温泉に入りたい気持ちの方が大きかった。

そしてそれは、どうやら美沙にも伝わっていたようだ。

「私ももう疲れたから、温泉入りたい〜」

それに便乗して、私もうんうん、と二回頷く。

「剣士は?」

「いや俺はもう完全に温泉モード。さみーし」

「じゃあ宿行こっか」

私たちは15時過ぎに遊園地に別れを告げて、今夜宿泊する宿へと車を走らせた。

「あ、ワイン買ってこーぜ」

「いい!」

途中、おみやげ屋さんを見つけた鎧塚さんの何気ない提案に車を降りて、山梨県の名物とも言えるご当地ワインを、1人一本ずつ選んだ。

それに合わせて、おつまみなんかも少しだけ買って。

「楽しいね」

「ね」

私と美沙は顔を見合わせて、にんまりと笑った。