気付けば怪しげなホテル街に足を踏み入れていて、男性陣は急に色めきだった。
いくつになっても、男ってやつはこうなのだろうか。
「じゃあ桃ちゃん、休憩してこっか」
「きもいきもいきもい」
彼女に振られたショックからか、峰岸くんは悪酔いしてあちこちで迷惑をかけまくっていた。
峰岸くんの相棒的存在の鈴木くんですら、もう彼を放置気味だ。
そのとき、峰岸くんが最悪なことに、ホテルを出てきたカップルに突進をした。
「ちょっ…!」
私たちは声も出ないし、足も出ない。
もはや他人のフリをしようかとさえ思った。
「すいません!!こいつ酔ってて」
しかしそこはさすが相棒。
鈴木くんがグーで峰岸くんの頭を殴り、カップルたちに頭を下げた。
「ほら峰岸くん、ちゃんとして」
「頭から水かけるよ」
舞が本当にバッグからお茶のペットボトルを出すと、こんな状況だというのに、まだ他の同期たちは高みの見物で大笑いをする。
鈴木くんと2人、すいませんと謝りながら恐る恐る顔をあげたとき。
私の時間が止まった。

