3日ともなれば、さすがに少しは混雑も緩和しているかと思われたが、決してそんなことはないようだ。
原宿駅は人がごった返して、着物の帯が崩れてしまわないか、非常に心配。
「人やば。まだこんな人いるんだ」
そんなことを言いながら、繋いでいた手を離して、すっと私の腰にそれを回す。
そうしてくれたことで、なんだか安心感が随分と違った。
「…ありがと」
見上げた彼は、軽くにこっと微笑んで、その姿に私の胸はきゅっと縮こまる。
― 帰ってきてくれて、よかった。
私の頭に浮かんだのは、そればかりだった。
久しぶりといったって、最後に会った日から2週間と経っていない。
それなのにこんなに不安に駆られるのは、私がおかしいんだと思う。
だけど、以前彼にも言われたことがあったが、私は変なところで妙に勘がいい節がある。
だからこの直感も、あながち間違いとは言い切れないと思っているのだ。
「着物、可愛い」
「え!?」
それでも、急な彼の言葉には、簡単に心臓が音をあげてしまうし、
「今日は、どっか泊まろっか」
そんな誘いには、目の前がクラクラした。
一体いつになったら、私は彼と対等になれるのだろうか。

