レフティ


翌日は例のごとく、美沙とお昼開催の吉祥寺の街コンに参加したあと、20時からは、先週の街コンで知り合った男性たちのグループと合コンの予定だった。

街コンの参加費は女性の方が安いし、合コンだって大体男性たちで8割を払ってくれる。
さほど稼ぎが良くなくとも毎週飲みに行けるのは、そういう理由だった。

「おはー」

髪を1つに束ねているときの美沙は、大方、前日朝帰りのパターン。

「またー?もう今日あるんだから勘弁してよ〜」

「ごめんごめん。なんか帰るに帰れなくなっちゃって」

大きな欠伸をした彼女からは、甘いシャンプーの香りがした。

「誰?先週そんななんかあったっけ」

「やー…それがー…マサオくんなんだー…」

「は!?」

マサオくんというのは、まさに今日合コンをする男性グループの幹事である。
タイプじゃないと言っていたのに、一体いつの間に。

「ほら、会社同じビルだったじゃん。それで帰り偶然さ…」

美沙は寂しがり屋なせいか、男性に誘われると、生理的に無理でない限り、断れない性格なのだ。
それはもう、高校の頃からそうだった。

「私も里香みたいに芯強くなりたいけどさー…彼氏いるわけじゃないし、まぁいっかってなっちゃうんだよね〜」

「…まあ、そうだよ。彼氏いるわけじゃないんだから、避妊だけちゃんとしてれば」

「それは肝に銘じてます」

美沙は食い気味に言った。

偉そうに言ったが、20歳のときを最後にそういうことからは遠ざかっている自分は、それはそれで大いに問題ありである。
キスですらそうなのだから、26歳にしてすでに私は、女として干からび始めていた。

だから、美沙のように素直に飛び込めるのは、正直少しだけ羨ましい。