22時---。


仕事を終えた私達は、
2人で会社を出た。


「なんだか、ちょっと寒くなってきましたね…。」


暗いオフィスの前で
肩を震わせると、
桐山社長が自分のジャケットを
私の顔に向かって放り投げた。



「着ろよ。」


「だから、そういうところがいけないんですよ!
これじゃ、せっかくの善意も無意味に!
なんでもっと優しくカッコよく渡せないかな〜。」



なんだかんだ文句を言いながらも
嬉しい私は、
すぐにその大きいジャケットを羽織る。





私にはダボダボだけど…
あったかくて、心地いい。