私が選んだのは女子に人気のパンケーキのお店。
その女子だらけの行列を見て
桐山社長は早くも顔面蒼白だった。
「本当に並ぶのか?」
「ええ。私こう見えて甘いもの大好きなんです。」
桐山社長と私が列の最後尾に並んだだけで、
周囲の女子達がザワつきだす。
『ねぇ、見て。あの人超かっこいい』
『やばっ、めっちゃタイプなんですけど!』
『彼女の為にこんなお店に並ぶなんて可愛い〜』
どうしたって聞こえてきてしまうその雑音に、
桐山社長の顔がみるみる赤くなっていく。
「社長、これも人生経験ですよ。」
私がそう言うと、
「こんな人生経験いらん。向こうで煙草吸ってくる。店入ったら電話しろ。」
さすがに耐えられなかったようで、
私を残し、退散してしまった---。



