9時20分…。
無言のまま黙々と仕事を続ける私に、
なぜか社長がコーヒーを持ってきた。
「なんですか?」
「飲めよ。
俺が淹れたからきっと美味いと思うよ。」
「私の仕事です。
社長は自分の仕事に専念してください。」
「あ、もしかして昨日のこと怒ってる?」
「………はい?」
「おれがオデコに付箋貼ったからだ。
そんくらいで拗ねるなよ。」
「違います。別に機嫌も損ねていません。」
「…あっそ。ならいいけど。」
「ええ。至っていつもどおりですよ。」
「…覚えてるか?
明日は大事なパーティーだぞ。」
「覚えてますよ。スケジュール管理は私がしてるんですから。」
「たしか原田社長、
着飾ったお前が見たいと言ってたよな。」
「言ってましたっけ?そんなこと。」
「言ってたよ。
…よし、行くぞ。」
「は?」
吉幾三…?
「今日の仕事はもう終わりだ。」
「何言ってるんですか?」
「いいから、黙って付いて来い。」
…-----。



