私がエントランスに到着すると
時間差で玄関口に続々と車が到着してく。
すっかり仕事モード全開の社長は
汗だくの私の事など見向きもせずに
客人達をエスコートし始めた。
なので私もその姿を見習って、
精一杯の笑顔で記者達を迎え入れたのだった…---。
社長室でのインタビューが終わって、
遅めのお昼休み…。
私は電話に捕まる桐山社長を残し、
一人で8階の社員食堂へ来た。
デジタルサイネージには
大きく肉じゃが定食の文字が。
1000席もある中の
一番端の席に座って
肉じゃが定食を頬張っていると、
「藍川さん、お疲れ様!」
見知らぬ美人な女性社員から
声をかけられた…。
「あ…、えっと…」
「隣座ってもいい?」
「…はい。」って、私が答えるよりも前に座ってるし!
謎の美人社員は、
テーブルの上にオムライスを置くと、
それを食べもせずに話し出す。
「私、企画部の矢澤です。よろしくね。」
「…はぁ。宜しくお願いします。」
「藍川さんの部署って、たしか…広報?」
「あ、はい。でも今は訳あって1ヶ月だけ社長の秘書をやってるんですけど…」
「ええ!?そぉなんだぁ。えー、いいなぁ。羨ましいなぁ。」
あれ…。
なんかちょっと、わざとらしいような。
「でも秘書の仕事って大変ですよ。どんなに仕事を早く終わらせても定時に帰らせてもらえないし。」
「え!何それ!?帰らせてもらえないって…
………そういう事!?」
「ん?…えーと、そういう事とは?」
「あ、ごめん。なんでもない!」
…なんだか、
うまく会話が噛み合わない。



