次の日。

私が会社へ着くと、
何やら騒がしいエントランス。


「キャー!社長の黒スーツ姿かっこいい〜!」

「しーっ、怒られるよ?」

「でも超かっこいいんだもん〜。」

そんな話し声が耳に入ってきたかと思うと、
すぐに私の目にも眩しいその姿が目に入ってきた。


昨日まではネイビーのスーツだったのに、
今日は黒いスーツをピシッと着こなしている桐山社長。


なんだか大人の色気ムンムンで、
そりゃ女性社員達が騒ぎたてるのも無理はない。


「遅ぇよ、ゲスメガネ!」


そう言ってこちらへ向かってくる社長。

「…げっ!」

社長が歩くたびにキャーという黄色い声援が付いてくるもんだから、私は反射的に後ずさりした。


「げっ、ってなんだ。逃げんなコラ!」


「すみません。でも私、遅刻してませんよ。」


腕時計を確認しても7時50分。
まだ10分前なのでセーフでは…