俺はなんて馬鹿なんだ…。
本人に確認もせず、
勝手に勘違いして…
散々悩まされた"ダーリン"はペットの猫で、
南とは単なる同期だったなんて。
…てことはつまり。
南は遊園地のチケットが余ったとか分かりやすい嘘吐いて、藍川を誘いたかったってわけだ。
でも、藍川がデートの相手に選んだのは…
俺だったと?
「…ふ〜ん。」
「…何ですか?」
すべてを悟った途端、
ニヤニヤが止まらなくなる俺。
藍川が不審そうな目つきで
睨んできても、そんな事はもう気にならない。
「つまり、あれだ。」
「…は?」
「お前、俺に惚れてんだろ?」
「はぁっ!!?…な、何を突然…っ//」
「…分かりやすい奴…。」
「…ち………ちがいます………//」
真っ赤な顔する恋愛経験ゼロの藍川に
なんだか胸が締め付けられる。
握っている手から伝わるのは、
彼女の上がる体温と湿った感覚…。
言葉とは裏腹に
きつく握り締められた手が何よりの証拠だった。



