観覧車の中で2人きり。
俺の素早い行動に
藍川は呆気にとられているようだった。
しめしめと、笑いだす俺に
怒った彼女の声が劈く。
「何を笑ってるんですか!?
やっぱり社長は最低です!!」
「最低で結構。
今日一日あいつと一緒なんて
まっぴらごめんなんだよ。」
「こんな騙すようなことして胸が痛まないんですか!?」
「痛まないね。嫌いだし。」
正直に答える俺に、呆れた表情の藍川。
「とにかく、降りたら戻りましょう。」
「嫌だ。絶対。」
「子供みたいなこと言わないでください。
今日の遊園地だって南くんのおかげで来れてるんですからね。」
「…どういう意味だよ。」
「だから、私達のチケット…
南くんがくれたんです。」
「…は?」



