と、思ったのに…。 「…そんな突然聞かれても…っ …選べないよ…。 チケット代が勿体ないし…。」 …まさかの回答だった。 こんな場面で持ち前の貧乏性を最大限に発揮しやがって。 「だったら…桐山社長、俺と勝負してください。」 「あ?」 「今日一日、伊織をより楽しませた方の勝ち。 勝敗は最後に伊織に決めてもらう。」 「………藍川はそれで良いのかよ?」 俺が聞くと、 戸惑いながらも小さく頷いた藍川。 こんな優柔不断な女でも 好きになっちまったもんは仕方ねぇ…。