茶髪からの視線を感じ、
短気な俺は心底ムカついてきた。
そもそもこいつが彼氏ヅラして
此処に来なきゃこんな事には。
ていうか、藍川も藍川で、自分の行動を逐一彼氏に報告しやがって…。
…普通するか?
他の男と出掛けるっつーのに。
あり得ないだろ。
俺の苛立ちを他所に、
追い討ちをかけようと茶髪が口を開ける。
「それじゃあ、桐山さん。お疲れ様でした。
出口はあっちです。」
淡々と話しながら、
出口の方面を指さすコイツを殴ってもいいのだろうか?
…いや…、でも一応俺のとこの社員だしダメか。
「やっぱり俺は帰らねぇ。
よく考えたら、お前が帰れば済む話だな。」
「いえいえ、伊織の事なら俺に任せて社長はお帰り下さい。さぞ忙しいんでしょうから。」



