昼を食べ終わり、
何だかんだ言っても終始笑顔だった藍川と
エレベーターに乗り込み、
また15階で別れた。
---定時。
仕事の手を止め
恐らく来るであろう藍川を
エントランスで待っていると、
やはり来た。
彼女は俺を見つけるなり
ギョッとした顔で驚いて固まってしまう。
「よう。昼ぶり。偶然だな〜!」
わざとらしく話しかけると
「…えっ!?また社長!!?」
理解が追いつかないといった感じでそう言った。
「またってなんだよ!嫌なわけ?」
「…ん〜…、いや…嬉しいけど………」
・・・嬉しいんだ…?
嬉しいんだ!
簡単に気を良くした俺は藍川の肩を掴み
「優秀な社員よ。まぁ来なさい。」
とかふざけた事を言って、
玄関口に停めてあるリムジンの後部座席に彼女を乗せてやる。
「え!?っえ!?」
どういう事か、顔で説明を求める藍川に
「お疲れさん。気をつけて帰れよ。」
とだけ伝えてドアを閉める。
発進した車を見送ると、
俺は腕時計で時間を確認し
上機嫌で仕事へ戻った。



