「っおい!待て待て待て!!」


俺が素早く藍川の手を制止すると、
じっくりと俺の顔を眺め出した酔っ払い…。


暫く険しい顔で眺めていたかと思いきや、
今度は満面の笑みで迫ってくる。

「あ…!桐山社長だぁ〜!
大好き〜〜〜〜」


なんて言いながら
小さな両手で俺の頬を挟み込んだ藍川…。


「なっ…!やめろ……!」


この酔っ払い女は
ベッドの上に俺を押し倒したかと思うと、
はだけたドレスのまま…


あろうことか、
腹の上に馬乗りで跨ってきやがった。


大胆すぎる行動に、
俺の思考回路が停止する…。


「いつもの仕返しれす。
よっくも…、いつも、いつも…
ワタシをコキ使ってくれまふね……?」


呂律も回らず
視点も定まっていない藍川に
思わずまた吹き出してしまう。


「あ…!まぁた、ワラシをバカにして…!
言っときますけろ!
ワタシらって、恋愛経験がナイことも…なくも、なく!」


「分かったから。落ち着けよ。」


「ワラシが、教えてあげるから!」


「……は?」


「レンアイの仕方…!」


「………。」


なぜか俺のシャツのボタンを外し出した藍川に、
とうとう言葉を失くす…。


もういっそ、
このままこいつを…………


なんて、ドス黒い感情が俺の中で渦を巻きはじめた…。





「桐山ながれっ!あんた…ホンキれ誰かを愛したコロもないんれしょ?」