恋愛の仕方おしえます。


何度も試着させて
悩んだ末、
ようやくドレスを購入。

次に選びに来たのは
バッグだった。


「あ、見てください社長!これとってもお買い得ですよ!」

「アホか。さっきから値下げ品ばかり持ってきやがって。誰が買得品見つけろつったんだ。」

「だって、もともと5万円くらいするものが、2万6千円って…ほぼ半額じゃないですか!!」

「んなもん、どうだっていい。さっきのドレスに似合うバッグを探せと言っているんだ。」

「え、これ似合いませんか?さっきのドレスに。」

「似合わねーだろ。なんでピンクのドレスに水色のバッグ合わせようとしてんだよ。」

「え〜。そうですかぁ?上級者の色使いって感じで良いと思ったのに。」

「なんでお前はいきなりオシャレ上級者気取りなんだよ。そんなダセェ眼鏡かけたやつがよく言うよ。」

「………ふっ。確かに。
じゃあ、社長はどれがいいと思いますか?」

「俺は、アレかな。」

「ダメですよ。あれさっき値段みたけど、9万円もします。」

「俺が買うんだから別にいいじゃん。
何がダメなの?」

「しかも、あんな小さなバッグじゃ荷物が全然入りませんよ!」

「お前はパーティーに何持ってく気だよ?
貴重品だけ入りゃ充分なんだよ。」

「えっ、パーティーって持ち物は貴重品だけでいいんですか?」

「当たり前だろ!大きな荷物背負ってる奴なんか見たことねーよ。」

「あ…そうなんだ。てっきりパソコンとか持って行くのかと思ってました。」

「…ハァ…。アホすぎる…。
明日マジで大丈夫なのか…。」


そんなこと言いながら、
こんな些細な言い合いも内心では嬉しかった。



やっぱり無理矢理でも、
連れ出してきてよかった。


これでやっと、


いつも通りの藍川伊織だ。